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「コロ旅」から考える、観光ARGの優位性

お久しぶりです。
ARG班の勝田です。

先日、武山研究会の最終報告会が無事に終わりました。
ご来場してくださった方にはこの場を借りてお礼を申し上げます。
私は2番目のプレゼンターとして参加しましたが、しょっぱな自分の名前を噛むという、自分でも考えられないミスをしましたのは、記憶にしている方も多いかもしれません。笑

最終報告での反応、そしてその後の懇親会などを通して、
多くの方が「観光ARG」というジャンルに、大きな可能性を感じていらっしゃることを知ることができました



さて、そんな矢先、位置情報系モバイルゲームで名を馳せた「コロプラ」がゲームだけに留まらずに新しいサービスを展開してきました。

コロプラ、位置ゲーと連動した旅行サービス「コロ旅」を開始--JTB、リクルートと共同で

位置情報系モバイルゲームのコロプラが、代理店と組んで、実際に観光商品まで落とし込ん出来ました。これより前に同様のバスツアーを企画したときは、2時間で提携商店の売上が50万にのぼったそうです。
少し、バスツアーの事例を追ってみました。

「コロプラ バスツアー」
【概要】
・羽田発~福岡~佐賀、長崎
・1泊2日で4万4800円
・回るルートは大きく分けて2パターン。
①レアアイテムがゲットできるスポット
②その地域の観光名所
バスツアーにしては割と高め?な価格設定。
少なくとも安くはないですね。

【参加動機】
あくまでこれは私の予想に過ぎないですが、おそらく参加者の参加動機はただ1つでしょう。
それは、レアアイテムをゲットすること。
・その地域でGPSを作動させないとゲットできないアイテムをゲットする。
・現地で商品を買うともらえる、レアアイテム交換カード(コロカ)をゲットする。
・商品を購入することで得られるスポンサーお土産をゲットする。
その動機がこの旅行を成り立たせていると思います。
もちろん、好奇心といった要素も含まれるとは思いますが、このレアアイテムをゲットしたいという欲求は、普通の人では考えられない行動をします。笑

【効果】
では、果たしてこの企画に、その地域の活性効果はあるのでしょうか。
結論を急ぐと、私はあまりないと思っています。

もちろん、関係者の方々はこのツアーを通して、今まで福岡や佐賀、長崎に興味のなかった人を現地に連れて行き、そこで思い出に残るような体験をさせた、という点で素晴らしい働きをしたと思います。
しかし、観光というのは、それで終わる簡単なものではないです。

観光で非常に大事な要素は「リピート」です。
いかに多くの人にリピートしてもらうか。これが非常に大事だと思っています。
だからこそ、おもてなしの心が生まれたのでしょう。

さて、そういった前提をもとに、仮に日本全国に「コロプラ」ユーザーが1000万人くらいいて、そのうちの1割が熱狂的で、旅行代金を払ってまでもレアアイテムを取りに行きたいといったとしても、1度きりしか訪れないのであれば、経済効果はたかがしれています。
そして同時に、そういったユーザーがその地域にリピーターとして訪れる可能性は低いと思います。なぜなら、彼らはレアアイテムをゲットするという大目標を1回の旅行で達成できてしまうからです。

「コロ旅」はその性格上、その地域で味わった体験をもう一度味わうことができないです。
多くの参加者の目的がレアアイテムゲットから抜け出さない限り、「コロ旅」を通じてリピーターが生まれる可能性は非常に低いと思われます。
結局、その地域で強烈な体験をしない限り、そしてその体験をもう一度味わいたいと思わせない限り、リピーターというのはなかなか現れないと思います。

「コロプラ」は非常に人気のゲームですが、観光業というフィールドから見ると、その数は微々たるものと考えられます。
ならば、手は1つです。
①その現地に行かせる面白そうな集客フックであることを保ちつつ、
②さらにその現地でまた味わいたくなるような強烈な体験をさせることです。

さて。
ここでようやく観光ARGの優位性が見えてきます。
ARGという言葉を使うか否かは置いておいて、普通の観光商品ではない観光ARGは、おそらく簡単には一般消費者が普通に選択肢の1つとしては出てこないでしょう。
その意味では立場は「コロ旅」と似ていると思います。
非常にニッチな層がターゲットになるのです。

しかし、観光ARGには、ストーリーに乗せてその地域の良さ、雰囲気、歴史、文化を伝えることができます。ここが最大のポイントです。
先ほども言った通り、観光業で大切なリピーターを確保するためには、地域で思い出に残る体験をさせるだけではダメで、それをまた味わいたいと思わせる必要があるのです。

そして、観光ARGの場合は、コンテンツを大きく変えなくても、回遊ルートを変えたり、エンディングを複数用意しておくなどの応用技を見せることで、この問題を解決できると思います。

もちろん、その分企画設計側の負担は増えるわけですが、今後の観光ARGの課題である、いかにリピート性を保つかという点とも非常に関わってくるところですし、今後もトピックになると思います。
また、班員ともこの辺を議論した場合は、このブログで紹介していきたいと思います。

長くなりましたが、以上です。

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