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【メンバー紹介】ARGメンバー、ここに集う!

2009年度ARGグループリーダーの
うららです!
ネットではularatterでよくつぶやいたりしています。
そして名前からも分かって頂けるように、
女の子です!!
身長153cmの女子です。(関係ない)


今日、
実は活動報告的なエントリーを書くのは初めてなのですが、
ふと何を最初に書きたいかなぁと思った時に、
自分たちのグループメンバーの紹介がしたいなぁと思いました。
この約半年間一緒にやってきて、
そしてあと残り数ヶ月を一緒に走って行くチームの紹介を。

私は、未熟ながらもこのチームのリーダーをやらせてもらって、
途中いろいろ右往左往する事もあったのですが、
それでもちゃんと着いてきてくれて、
一緒に成長しようとどん欲に頑張ってくれて、
そしてこんな奴らと一緒に出来て、
本当に幸運だなぁと心の底から思うので、
今回はそんな彼らの紹介をしたいと思います!



【7期生】
■三輪一平(みわいっぺい)
経済学部3年 
通称 わーみー

わーみーは、班の「タスク管理係」です。
この役職が、それはそれは重要。
私たちの研究がある程度のスピード感を持って、
着実にこなせてるのは彼のおかげでもあります。
よく議論の中で、「あれやったら良いよね」「これって調べるべきだよね」
など、さらっと言ったものって結構議論の終わった後忘れ去られてたり、
「これやっておいてね」と言われても、
結局期日を決めなかった為に実行に移されない場合って学生の研究会だとありがちだと思うんですね。
彼の仕事は、そういう曖昧なタスクを明確にして、
期日も確認し、その上で議論の最後に復唱、
そしてそれをまとめてリマインダを全体メーリスに流す事です。
これにもうそれはそれはお世話になっていて。
いつも感謝してます。

そして、彼には何よりも根性があります。
プレゼンの出来があまり良くなく、オッケーが中々出なかった時があったのですが、
連日の厳しいFBにも耐え、そして前日のスパルタオール合宿にも必死に耐えぬき、
本番では何か一つのブレイクスルーが起きたかのような振る舞いでした。
根性と粘り強さ。
そんなのが彼の魅力じゃないでしょうか。


■鈴木章浩(すずきあきひろ)
経済学部 3年
通称 あっきー

あっきーは、副リーダーとしてチームを支えてもらっています。
常に全体を見据えて、
必要であれば他の補佐をし、
又頼りないチームリーダーを支える(笑
のが彼の役目です。
今現在はトライアルの企画の為、
シナリオ進行に矛盾が無いかどうかだったり、
どうプレイヤー行動を設計するか、という事で持ち前の思考力を発揮して貰っています。

彼はいつもやたらと重い鞄を持ってるんですが、
その中には難しそうな本やらパソコンやらなんやらがたくさん入ってます。
ただでさえKEGは忙しいゼミなのに、一方で資格試験にも真剣に取り組んでる所に、
いつも関心させられています。
自分の夢、やりたい事に向かって、ゼミも試験も頑張る。
そんな姿に、自分も負けてられないなぁと思う事もしばしば。
たまにちょっと頑固なところもあるけど、でもそれは真剣に考えてる証拠。
真剣にぶつかりあって、どんどん成長していこうと思える仲間です。

■西村紳(にしむらしん)
法学部 3年
通称 HB

HBは、通常はシステム担当、
企画中はウェブ、集客戦略担当をして貰っています。
超不器用だけど、超純粋。
自分独特のセンスを持っていて、
時に人とぶつかる事もあるんだけど、
でもこういうタイプが、いわゆるイノベーションを起こしうるタイプなんだろうなぁと思います。
普段は冷静でクールな感じなんだけど、
一方でいきなりもの凄い行動力を発揮する事もしばしば。
んでチームメンバーを驚かせる事も度々あって、
今後楽しみな面白さをいっぱい持ってます。

そして靴のセンスがやたら良いというのが私の印象ですが(笑
それより何より、
本当に、まっすぐで、クールぶってるんだけど持ってるものは熱くて、
なんだかそんなところがちょっと愛おしい、そんな魅力を持ったHBです。

■長谷川恭平(はせがわきょうへい)
経済学部 3年
通称 はせきょー

はせきょは、普段はイベント担当として、
ある種の人事補佐的な事をやってもらって、
現在企画中は、主に交渉担当として商店街の方などの協力団体の方々との
いわばフロント係をやってもらっています。
人当たりがよく、
持ち前のプレゼン能力とコミュニケーション能力は、
まさにこの役職にはぴったりだと思っています。
実際、私が同行しなくても
ちゃんと一人で渉外もこなせる。
頼りにしている人材です。

はせきょーにはいろんな、いわゆる強みみたいなのがありますが、
私は何よりも「素直さ」と「適応力」だと思っています。
柔軟な思考と、素直な心。
多分この二つがあるからこそ、伸び伸びとこれからの伸びていくんだろうなぁと。
あとは、自分に本当の意味で自信を持って強くなること。
来年何してるか、とっても楽しみです。



【6期編】
■末田文吾(すえだぶんご)
経済学部 4年
通称 ブンゴ

文吾は、チーム最年長の大人です(笑
いや、でも本当に大人なんです。
そしてARGチームのチームワークの要だと思っています。
時に厳しすぎる発言やFBをしてしまう私の本意を凄くよく分かってくれて、
それを優しい言葉で言い換え直してくれたり、
ぴりぴりした空気を柔らかくしてくれたり。
チーム内コミュニケーションにおいて、
最も頼りにしている人です。

企画面では、
シナリオ制作やプレイヤー行動設計を担当して貰っていて、
そこでも他プロジェクトもあって忙しい中、頑張ってもらっています。
彼も、ARGチームでの研究だけにとどまらず、
KMDとの共同研究、collena-niというプロジェクトに参加していて、
二足のわらじをはきながら日々奮闘しています。
四年生で、こんな頑張ってる人中々普通の学生の中にはいないと思います。
時に自分に自信がなさそうな発言をするのですが、
まじでそんなのいらない!
チームの要として、これからも一緒に頑張ってほしい仲間です。


■勝田良介(かつたりょうすけ)
経済学部 3年
通称 かつん

実質完全にARG班の女房役です。
多分こいつがいるから、一家が成り立ってるんだろうなぁと。
スケジュール管理というかなり大事な役職を任せてますが、
安心して任せていられるのが彼だと思います。
また、メンバーの仕事への丁寧なFBには毎回とても関心させられています。
人の事でも、チームの事は自分ごととして捉えてくれてる、
頼れる仲間です。

特に人の意見に対する傾聴力と理解力、
その上での説得力に関しては多分ARGチーム一番で、
負けてられないなぁと思う事も。
実はKEGでは最もライバル視してますが、
去年一年留年してるので普通に今三年生(笑
最近はインターンだったりで優勝してきたり、
さくさく内定とってきたりと、
外でもその能力やポテンシャルが評価されてるよう。
他メンバーの、良い刺激としてこれからも頑張っていって欲しいです。
(私も負けてられない!)




このメンバーに、
私、ularatterこと西谷麗(にしたにうらら)を加えた総勢7名が、
このARGグループです!
研究会では最も体育会系でガチムチと噂されていますが、
一緒に夜通しプレゼン練習したりの他に、
鍋パーティしたり、カラオケいったり飲み会したり、
仲良く楽しく、

そして、誰よりも本気で。

残り数ヶ月、
下北沢ARGトライアル企画のためにも、
徹底的に頑張っていきます。

よろしくお願いします!




ularatter







こっそり追記。

■西谷麗(にしたにうらら)
経済学部4年
自称: うー。うーたん。

正に、「リーダー」です。
学生のプロジェクトではふわふわしてしまいがちな「目標」を
がっちり設定して、その一点を見据えて優先順位を組み上げて、かつ
それに班員を巻き込んで行ける人です。
そんなぶれない強さを持っている人。
ARG班が、みんな同じ方向を向いて頑張れているのも、
一重にこの人の強さのおかげだと思います。
そして、立場上厳しいことをかなり言うけれども、そのフォローを他の班員に
頼む、きめ細かさも実はあります。

きっと、僕の人生4人目の「師匠」になる人。
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【関連事例】ラジオ演劇とARG

こんにちは!
初めての投稿です。

あっきーこと鈴木章浩と申します。

先に、簡単に自己紹介すると、
自分は慶應大学経済学部の3年生で、
武山政直研究会では7期生に当たります。

趣味は読書とテニスとカレーを食べること。
性格は甘えるのが嫌だけど寂しいのは苦手なあまのじゃくタイプの人間です。


さっそくですが、今回は情報共有として、
ラジオ演劇とARGについて述べます。

確か「演劇の解剖」という名前の本からの引用です。

内的独白は普通ラジオの演劇が得意とする分野だとみなされている。視覚的な次元が欠如しているため、ラジオの聴取者は芝居の行動を自分で視覚化し、文字どおり自分の頭、自分の想像力の中で組み立てなければならない。そのためファンタジー、夢、記憶、および人間の内面生活がラジオドラマの理想的な主題となる。無論客観的な世界を現出させることも可能であるし、実際に多くのラジオドラマは映画と同程度にリアリスティックである。しかしこの現実世界の客観的な映像が聴取者によって内面化されているという事実のせいで、ラジオ劇の作者は現実世界から想像の世界へと容易に移行する機会を手にすることができる。自分たちの経験しているものが現実かファンタジーか、夢か事実かという判断がしばしば聴取者にゆだねられる。人々の表だった会話と、それに付随する内密な思いの奏でる対位法は、ラジオドラマにすれば常識であって、その技法を持ってすればいとも容易に成就できるものである。



上記の文章より、
ラジオ演劇は、ARGの“代替現実感”に非常に近しい感覚を聴取者に提供していると感じます。


YouTubeで「ラジオ演劇」を検索した結果、
貫地谷しほりのラジオ劇団・小さな奇跡/スプーク!
(http://www.youtube.com/watch?v=hRCUmAKHw1E&feature=related)
というのを見つけました。

実際にラジオ演劇を聞いてみると、
肉声だからかわかりませんが、容易にその演劇の舞台の様子が想像でき、
且つ、想像しながら聞かなければ面白くないため、主体的に聞き入ってしまう自分がいます。
雑感ですが、ラジオ演劇は確かに、仮想の物語であることは知りつつも
それを現実の物語のように感じさせる表現方法であると思います。

そこでまとめると、
ラジオ演劇の特徴として「視覚に頼らないストーリーの伝達」と「対位法」があり、
その両者をARGに応用することで、
代替現実感がより強固なものにできるのではないかと自分は考えました。
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【活動報告】なにしてるかっていうと。

はじめまして、ARG班のhasekyoです。

初エントリーです。ちょっと緊張します。

じゃあ今日はARG班が今どんなことをしているか、について
書いてしまおうか。

実は今、僕らARG班で実際にARGを展開しよう、ということで動いているところなんです。
研究意義うんぬんはとりあえず置いておいて、少し今日はそんな話をしようかと思います。



まず、ARGって何が面白いか。

よく議論される事ですが、一つに

「人が動く事でお話が進む事」

っていうのがあると思うんですね。前述の事例とか見てもらうと分かるかもしれないですが、
例えば「AI」キャンペーンの謎解き。

あれは、みんなが協力して謎を解いて行かない事には、ARGのプログラム自体が先にすすまない。
「トロン」にしても誰も宝探ししてくれなかったら、イベント自体成立しないですよね。

なので、言い換えると「人が動く事」なしには進まない事こそがARGの面白さのひとつだと
個人的には思っています。



で、それが今企画しているARGとどう関わってくるか。


いま、正に「人が動く事」に焦点を充てたARGを研究室で設計している所です。
それも、ネットとかで情報を得る、だけにとどまらず、
「人が『足を使って』動く」ようなARGです。


人が、実際の街の中で「足を使って動く」ことによってお話が進んで行くARG。
こんなのが、日本では受け入れやすいんじゃないかと!

もともと街歩き、なんて文化が日本にはありますし、安全神話は崩壊しつつも依然として
高い治安の良さを誇る日本ならではのARGが作れるんじゃないか、と
そんな意識をもってやっています。
で、さらに言ってしまうと、この街歩きをすることによってお話が進むARGっていうのは、
「観光」にもっと大きな感動をつけられるんじゃないか、ということを
考えています。
まぁそれに関しての詳細はまた後日。



ARG企画の話に戻ります。

「トロン」の様な単純な宝探しも面白いんですが、それだとお話が進んで行く感が見づらいので、
やっぱりお話に沿って人が行動するものを設計しようと考えています。

今は物語を一生懸命考えていたり、地域の人たちとの話し合いを進めているところです。
なかなか苦労もしていますが、着々と出来つつあります。
たぶん。や、そう信じたい。

元祖アメリカでやられているモノの様に湯水のごとく使える予算は0に近い
のでその分頭をひねってなんとかしたいと思っています。



正式な事が決まり次第、このブログでも告知しますので、詳細はもうちょっと待っててくださいね!


それでは!
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【事例紹介】映画トロンのプロモーションARG:Flynn Lives③まとめ&考察

映画 Tron LegacyのプロモーションARG、
"FlYNN LIVES"
について、
ちょっくら考えてみました。

定量的なとこがなんも分からんので、
完全にただの感想ですが、
以下参考までに。

FLYNN'S LIVESの結果


そもそも今回のプロモーションにARGを採用した理由は
以下の2つに当たると思います。
 
 ①ファン達へより満足度の高い経験価値を提供したかった
 (経験価値創出者としてのディズニーブランドの強化)
 ②ネットとリアルでトロン映画の情報を加速度的にひろめたかった


②に関しては、
毎回言われるが如く定量データがさっぱり出てこないので、
その是非は中々問えないのですが、
(映画プロモーションとかだと興行収入とかで判断されますが、
再現性が無いのでなんとも言えません)

①に関しては、
今回は明確に

「成功」

と言える様な気がします。


なぜ?


単純に、参加者の書いたブログエントリーの内容が感動と興奮に満ちあふれていたからです。
「そんな事かよ!!」
と思われるかも知れませんが、バイラルキャンペーンにおいては、
個人の書くブログエントリーの内容、
その評価、感想が全てと言っても過言じゃないと思います。

今までも数多くのARGが実施されてきましたが、
長期間でかつ内容もかなり複雑なものが多かったせいか、
ARG企画自体の粗探しでユーザーが盛り上がっていたり、
参加してみるものも楽しめず、途中で諦め不満足な結果に終わっていたり、
不満をこぼすブログエントリーが少なく無いものが数多くありました。

しかしトロンARG,FLYNN LIVESの場合、
まだARG終了から日が浅いという事もありますが、
非常に好評価のエントリーが多いという事が言えます。
(大体20個くらいのエントリーから判断してます)

http://www.firstshowing.net/2009/07/21/so-flynns-arcade-exists-new-viral-game-for-tron/
例えば上記サイトでは、
リードユーザー達がコメント欄でコミュニケーションをとりあっているわけですが、
このパズルを解いて行くスピード感、
そして次のイベントへの期待感が増幅して行く様が手に取る様に感じられます。

又、
実際にスカベンジャーハントに参加し、
FLYNN'S ARCADEで80年代のアーケードゲームを楽しみ、
さらに実寸大のライトサイクルのお披露目にも居合わせた人が興奮の余り書き込んだコメントからも、その喜びと興奮が感じられます。
(以下実際に書き込まれたコメント)


FLYNN LIVES!!! We were there at 1st and J… Where we were instructed to search for codes which were hidden around the Gas Lamp Quarter of San Diego with a supplied “Black Light” to reveal the coordinates of a special TRON event. The group of eight of us were able to quickly solve the puzzle and discovered, to our amazement, FLYNN’S ARCADE! When we entered the secret arcade, we found that it was an exact replica of the one featured in the special screening at Comic-Con from earlier that day! We all played the classic arcade games listening to cool tunes from the eighties until a certain song by Journey cued us to go the classic TRON arcade game… Next, the secret door behind the TRON game was revealed and we were led into the secret back room where we found an actual Tron Lightcycle from the new TRON movie… we were completely wowed and delighted!!! We left after given t-shirts and posters with hidden messaged to the countdown website… (clue: “slash derez”) …the actor who plays the son of Flynn (Garrett Hedlund) also showed up to say hi and we even saw Peter Petrelli (Milo Ventimiglia) from Hero’s come by to see what was going on. Totally a cool night…Disney went way over the top with this!

veganboy on Jul 24, 2009



時間のある時に日本語訳ものせようと思いますが、
コメントの中のビックリマークの量だったり、
又最後の一行、

"Totally a cool night…Disney went way over the top with this!"
(最高にいかした夜だった。完璧にやらかしてくれたよディズニーは!)


からも、
参加者に対して期待以上の経験価値が提供出来ている事が感じられます。


これこそ、
経験価値のパイオニアであるディズニーの仕事、
という感じが個人的にはします。
もちろん、
ディズニー映画とARGとの親和性を敏感に感じ取り、
ここまで満足度の高い企画を考えた42entertainmentもさすが、といった感じですが。


ストーリーの無いARG



このARG、
特徴の1つに、
「ストーリーの欠如」があげられます。
これ実は結構レアケースで、
大抵のARGにはストーリーがあり、
いわゆるロールプレイングゲームをやる感じで企画が進んで行くのが普通です。

人によっては、
「ARGにはストーリーが不可欠。何故ならARGとは新たなストーリーテリングの手法だから」
とまで言う人もいるのですが、
FLYNN LIVESをARGとしてだけ考えると、
(トロンという世界観、ストーリーを考えない)
これは明らかに「ストーリーの無いARG」であると言えます。

FLYNN LIVESは、ストーリーが無くても十分機能した特異な例だと思います。
なんでなんだろーとちょっと考えてみました。

短期間完結型ARGには、ストーリーはマストじゃない



①テンポ
②次のフラグを立たせるまでのモチベーション

の2つがゲーム進行の鍵となるのは感覚的に分かって頂けるでしょう。
ストーリーがあれば、
そのストーリーの続きが知りたいという動機で小難しいパズルを解いたりリアルミッションに参加してくれたり、
参加せずともまとめサイトの更新情報をチェックしてくれたりします。
もちろんパズル解読やリアルミッション参加へは違う動機が起因してたりするとも思うんですが、結局そこにストーリー、あるいは他の強い動機(懸賞金等)が無いと、
普通やられる長期間ARGは参加者を惹き付け続けられない。
結果過疎化が深刻化し、企画倒れした例も少なくありません。
(日本で実施された「あんたがた」等のイベントは、ここではARGと認識していません)

しかしFLYNN LIVESは、
約三日間という短期間で
ミッション1:GIFアニメデータ解読(難易度高)
ミッション2:カウントダウンの謎解明(難易度易)
ミッション3:Comic-conでのスカベンジャーハント
フィナーレ:FLYNN'S ARCADEオープン、ライトサイクルお披露目

と、テンポよく企画が進み、
ストーリーがなくてもプレイヤー達の参加意欲を下げる事なく進める事に成功しています。
又結果的には、
プレイヤー達が謎に立ち向かって行く様子、コメントでのやり取り等が、
何かストーリーめいた面白いイベントになっていた様にも感じます。

又ミッション、要はプレイヤー達のTODOが明快だった為に、
プレイヤーに対してもwatchしてる側に対しても、
進行過程で混乱を招かなかった事が大きな勝因になっているとも考えられます。
つまり、複雑なストーリーを無理矢理組み込む事で生じる
①行き過ぎた推測
②思考の分散化(ストーリー追求orミッション達成かでプレイヤー行動が散ってしまう)
を未然に防止し、進行スピードを保証していたのではないでしょうか。

要するに、
下手な混乱を招くぐらいなら無理にストーリーを作らなくても良い。
ストーリーが無いと駄目だ、という元々帰納法的に出ていた結論が、
また今回の事例を通して覆った様な気がしています。


日本での応用可能性


これなら日本人でもやってくれるイメージがやや湧きます。
というのも、
①短期間完結型で、面倒くさくない
②ブログは信頼されていて、特に有名ブロガーともなればその信頼度は極大
③TODOが明快。何したらいいか分かるから、やっても良いかなって気になる。
④知ってるコンテンツだとなおさら良い。

とにかく古典的ARGは、
得体が知れなくて「恐い」

TINAG(this is not a game)とか言ってるけど、
リアリティーとフィクションがあまりにも曖昧になりすぎてると、
一部のネットギーク以外は恐くて近寄れない。
twitterですら恐いとか思っちゃう国民だから、
いわんやARGをやってなもんで、ハードルの高き事山のごとし。

この「恐い」を解消してあげられる要素は、
今の段階では
①有名タイトルとのコラボ
(アニメだと、こちかめ、ドラえもん、エヴァ、等)
②ゲームである事の明示
どうぞ安心してゲームに参加してね!というメッセージ

がコア

で、

「なんかよく分からない」を解消する為の施策もちゃんと盛り込んであげる事が必要だろうなぁと、思います。


最後に参加動機ですが、
ARG自体がかなり非日常的経験サービスなので、
何かしらイベント等とコラボして、
ターゲット層が「イベントモード」になっているタイミングを狙って行くと成功率が高まると思います。
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【事例紹介】映画トロンのプロモーションARG:Flynn Lives②

詳細説明② キーウェブサイトとコミコンへの誘導



キーウェブサイトと勝手に名付けるが、
(キーウェブサイト=ARGのメインステージに辿りつく一歩前のウェブサイト)

Flynn Lives(以下FLs)においては、
こちらのサイトがキーウェブサイトとなっていたよう。
http://www.flynnlives.com/


現在は残念ながらもう削除されているのですが、
このサイトの下部にいたらしいぴょんぴょん跳ねる蜘蛛のアイコンをクリックすると、
以下の様なカウントダウンが表示されたようで、

<カウントダウン画像>


逆算すると、
7月23日 午後9時半、と。
何かがこの日に起きるから、
君達覚悟していてね、的なメッセージですね。


さらにこのサイトの
「terms of use」のページに、
最初に届けられた郵便物の発送元と同じアドレスが記載されており、
そこがサンディエゴだと知ると(まぁ大方は予想されていたが)
ファン達は、コミコンまっただ中のサンディエゴに集まっていったのでした。

第2ミッションクリアである。


詳細説明③ リアルミッション



大体ここまでで、(というか当初から)
コミコンでトロンチームが何かを企てているという事は
ファン達の中では周知の事実だったらしい

とはいえ、限定Tシャツを配るとか、
いわゆる普通のノベルティーグッズを配るくらいのことを考えていたらしいですが・・・

実はそのコミコン真っ只中のサンディエゴを舞台に、
ファン達をあっと驚かせるイベント&ミッションが待ち構えていたのです。
これぞARG、伝家の宝刀の一つ、
リアルミッションin the cityが、
ファン達を更なる深みへ没入させ、
後々のバイラルを生んでいきました。


FLsにおけるリアルミッションは
参加者がスタッフに配られたブラックライトを持ってサンディエゴ市中を歩き回り、
そこら中に隠された暗号を探し出して、
Flynn's arcadeの場所を特定するというもの。

市中に隠された3つのポスターを見つけ、
それにブラックライトをあてると数字が浮かび上がる仕掛けになっていたらしく、
この数字等の暗号を解くと、
マップ上でFlynn's arcadeの場所を割り出す事が出来る、という流れ。

以下がその様子。


※こういうタイプのミッションは、どうやら
「Scavenger Hunt(スカベンジャーハント)」と呼ぶらしいです。

参加者同士協力しあいながら場所を特定し、
その様子はお馴染みtwitterでつぶやきあわれ、
そこからもバイラルが広がっていった様子。


そして夜九時半。

カウントダウンが示していた時間がやってきました。
その一連のARGイベントのクライマックスの瞬間は、
是非動画でご覧にいれたい。





詳細説明④ FLYNN'S ARCADE,HOME OF TRON



イベントのクライマックスで登場したのは、
ディズニーランドのアトラクションさながらのイベント施設。
Flynnが経営していたというゲームセンター、
FLYNN'S ARCADEだ。

ファンだったらこりゃ興奮するでしょうね。
なんせゲームの世界が、
ディズニーランドでもユニバーサルスタジオでもない、
サンディエゴの街中に現れたんですから!

そしてそのFLYNN'S ARCADEの中はどうやらこんな感じらしいです。
ここではトロンの中に実際に出て来るようなアーケードマシーン(TRONそのもの)や、
1980年代の懐かしいゲームが無料で遊べるようになっています。



しかし

プレイヤー達、又ファン達に用意されていたのはこれだけでは無かったんですね。
中の奥の方にある秘密の部屋には、
なんと本物の「ライトサイクル」まで用意されており、
お披露目の瞬間には会場にいた多くの人々が歓喜に湧きました。
(今でも行列ができてるらしい)



http://www.cinemablend.com/new/Comic-Con-Flynn-Lives-And-He-s-Reopened-His-Arcade-14068.html






うーーん
実に見事。
満足度にばらつきがあることが一般的なARGには言えそうだけど、
このARGの満足度は是非定量的に調査したいところ。
まとめてるだけでもこれだけ面白いんだから、
きっと参加者達の興奮といったら無かっただろうな。

次回エントリーは今回のARGを
紹介ではなく考察してみようと思う。

<考察へ続く>
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【事例紹介】映画トロンのプロモーションARG:Flynn Lives①

前回は42entertainmentが初めて世に送り出したARG、
the Beastを先日ご紹介しましたが、
http://ularatter.blogspot.com/2009/07/arg-beast-1.html

今回は
最近カンヌ国際でも話題をさらっていき、
ノリに乗っている42entertainmentが先日行なったばかりの
最新ARG
"Flynn Lives"
をご紹介します。
(きっと日本語で紹介されてるのはここが一番乗りのはず!)



その前に、
トロンを知らない方も多いと思うので、
以下のトレーラーをご覧くださいませ。

ディズニー3Dアニメ映画
トロンの凄さを垣間見れるかと思います。
(フルスクリーンをおすすめします)








概要


ディズニー映画『トロン レガシー(Tron Legacy)』
のバイラルキャンペーン。
Comic-con(略してコミコン)に合わせて仕掛けられた、
イベント連動型ARG。

※コミコンとは
 [シネマトゥデイ映画ニュース] 
今年で40周年を迎えたサンディエゴのコミック・コン(コミコン)が22日よりスタートした。今年も4日間のパスは数か月前にすべてソールドアウトとなり、約12万人のオタクたちが集まる世界最大のコミコンは初日から大盛況。
http://www.cinematoday.jp/page/N0018973


そのコミコンの開催前日の7.21に、
正体不明の郵便物が数名のブロガーに届けられた所から、
Flynn Lives(以下FLs)は幕を開ける。

謎の郵便物の中には、
コインとGIFアニメデータが保存されたフラッシュメモリが入っており、
ブロガー達はそれらデータをネット上で共有、暗号を解読。
コミコン当日にはトーチ型のブラックライトが参加者全員に配られ、
会場内を歩き回りヒントを集めてマップを作成するリアルミッションに参加。

最終的には、
トロンに登場するFlynnが経営していたと言われる、
1980年代風のアーケードゲームセンターがサンディエゴにオープンした。



詳細説明① 謎の郵便物と暗号




2009 7.21、
/Film』等、5人の映画情報に明るい有名ブロガーに、
Flynn's ARCADEと刻印されたコインと、
GIFアニメデータが保存されたフラッシュメモリが同封された郵便物が届いた。

SF映画ファンであれば、このFlynnという人物が映画トロンに出て来る登場人物だという事がすぐに分かる。

彼らが受け取ったGIFアニメデータ(5つあるうちの2つ)






これらのGIFデータには暗号が隠されており、(見るからにそうだが)
それぞれのブロガーから情報を入手したファン達は、
こぞってそれらのデータをネット上で共有し、暗号解読を行なった。

例えば、
/Filmの読者であるBenjamin O:という人物が以下の様な暗号解読を行なった事が
/Filmでも取り上げられている。


Hi!
I just spent a while compiling the 4 animated gifs into code, and found out that they use a simple substitution cipher for the symbols, the symbols that are available translate to:
(やぁ!4つのgifデータをコーディング出来る形にコンパイルする為に、
ちょいと時間を使ってみたんだけど、どうやらこいつらは簡単な換字暗号を使ってるみたいなんだ。それぞれの記号はこんな形で訳せるぜ!)

œ = h
æ = t
© = m
å = l
Ø = e
¶ = a
§ = d
Ω = s
÷ = y
Δ = p
Σ = c
x = x
¢ = b
≥ = o
≈ = n
√ = r
Π = i
≤ = v

and there’s one other that I can’t read. When you translate all the symbols, the html code that results shows a table and a list of coordinates. I attached the html file I made. Unfortunately, there must be one more gif floating around somewhere because it’s incomplete. You can still figure out most of it, though. I attached the html file I made.
(あと一個だけ読めないやつがあるんだよね…。
全部の記号を翻訳すると、コーディネイトと、テーブルがあらわれるんだ。(以下参照)
僕がつくったhtmlファイルを添付しておくね。
だけど、確実にまだどこかにもう1つのGIFデータがあるはずなんだ。
なぜならこれはまだ不完全だから。それでも大体は解読できるけどね)

Following the coordinates going first down, then right gives: “Flynn Lives.”
y e a i h
o C s F t
i n v o l
l a r d m
b s h n b

2,4 3,5 1,1 5,4 3,2 4,1 1,4 3,3 1,2 5,2



暗号を解読すると、
暗号が"Flynn Lives"であるという事が分かり、
プレイヤー達はそこからさらに、
Flynnlives.comというサイトに行き着く。

第1ミッションクリアである。


<続く>
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【ARG定義】ARG定義とのその特徴的効果①

ularatterです!
ちょっと研究室っぽくまとめた記事をこちらに転載させて頂きます。

タイトルに①と入っていますが、
この続きも存在する、という事ですので、
是非次回更新をお待ち頂けると幸いです。

このエントリーは、
ARGというものをある種の構造的なフレームワーク的なところに落とし込むとどうなるのか、
という視点でまとめていますので、
正直知ったところで面白いARGが作れるようになるとかそういうものではありません。
ただ、
一つ理解の補助役になればいいなと思っています。

来年武山研究会を考えている人は、
毎年こういう定義付けとか効果とか、
議論してまとめて議論してまとめて、
という事を繰り返す事になりますので(笑
入ゼミ試験の前に必ず読んでおいてほしいなと思います。




ARGとは何か。


ARGとは、言葉であらわすと、
『フィクション世界の情報を断片化し、
日常的に利用するメディア郡を通じて分散的に配信する、
新しいクロスメディア手法、あるいはそれを活用したエンターテイメントの事』
です。

これは、ARGというものを広義に定義づけ、
又ARGの機能的要素に焦点を絞り、その効果(代替現実感等)を要素に含めずに定義する事によって、その他類似の手法と一線を引く為のものです。

ここより、
1つ1つの要素を順を追って説明致します。

まずこのARG定義と、その効果の関係についてですが、
研究会としては以下の様に考えています。

これはつまり、
ARGの定義にある機能的要素が、
結果的にARGの特徴的な効果を生み出しやすい、
という結論です。

この、代替現実感やマスコラボレーションの要素をあえて定義の中に入れなかった理由と致しましては、評価指標が非常に曖昧で定量的にはかりずらく、
そもそも測る事にあまり意味が無い(ARGかそうでないか、という話は事ビジネス的にはなんの関係もない)ので、「定義」と「効果」を別ものとして考えている、という経緯があります。

ARGの機能的要素①『情報の断片化』


ここからは、従来型とARG型との比較でご説明します。


これまでのコンテンツは、例えばゲームにしても漫画にしても小説にしても、
基本的にはその一連の起承転結というものが1つのメディア上で完結しているのが通例でした。
スピンオフ作品や関連製品はもちろんありましたが、
それらは単体でも起承転結が完結しており、本体作品が無ければ成り立たないという構成にはなっていない事が普通です。
ARG型はそうではなく、
あえて1つ1つの事象をものすごい細かさに断片化します。
それらは決して単体だけでは面白いものでもなんでもなく、
それだけを見たら前後も文脈も何もないので、ただ情報にしかすぎません。


ARGの機能的要素②『情報の日常メディアへの分散配信』



それら断片化された情報を、様々な日常接触メディアへ分散配信します。
これは、従来型のクロスメディアと違い、
1つ1つが不完全な半製品であり、ユーザー達が協力して1つのコンテンツを作り上げて行く必要があります。
ここに、ARGの特徴的な効果を生み出す最大のエンターテイメント要素があるといっても過言ではありません。


ARGの特徴的効果


効果は以下の2つです。


まず一点目の「代替現実感」についてですが、
この感覚を生み出す仕組みを、研究会としては以下の様に考えています。

この仕組みは、通常人がどういう風に現実世界の情報を取得し、
実感しているかというところのプロセスに着目し至った結論です。

通常人は、様々な現実世界でのニュース、出来事を、
新聞や携帯電話、テレビ、インターネット、街のデジタルメディア、等の様々なメディアを通事て取得します。
そしてその接触回数が高ければ高い程、
又違うメディアからの情報流入があればある程、
記憶にすりこまれ、現実感が湧きます。(日常の情報として身体にすりこまれます)

このプロセスに着目し、
日常的接触するメディアに対して、フィクション情報を配信していく(情報の分散配信)ことが、あたかもフィクション世界が現実の事かのような「錯覚」の創出に繋がる、というのが、
ARGの代表的な効果なのであります。


二点目の『様々なバックグランドを持った人々のマスコラボレーション』
の説明をします。

これは単純に、断片化された情報が数多存在し、
またその中に一般人が一人では中々クリアする事が出来ないような仕掛けが施されているので、結果的に人が人を呼び、様々な方面から人間が集まって来るという社会工学的現象が起こるという事です。
この度合いに関しては、ARGの性格にもよりますので、
全てが全て超大型マルチプレイヤーゲームという訳ではありませんが、
共通して「一人では完結し得ない」という特徴があります。

彼らは古典的には主にフォーラムや掲示板、wiki、等で集い意見交換をしたり、
まとめサイトを構築したりといった活動を行ないますが、
現在のトレンド、又近い将来的には、ソーシャルメディア(google、facebook,twitter、日本ではmixi等)をよりARGの中心据えて来るものが登場すると思います。
(現在すでに試験的に取り入れているものも多くあります。
が、まだまだ100%活用しきれているとは言えないと思います。)


最後に


これらの定義、要素、特徴等は、
是非事例研究の際にフレームワークとしてご利用頂ければと思います。

又、ARGの登場背景に、
Web2.0ブーム、
デジタルネイティブの台頭、
デジタルメディアの多様化
があったように、
今後のARGも、Webを中心とする外部環境によって様々な進化を遂げると考えます。
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【事例紹介】ARGのはじまり "the Beast" (2)

the Beastの新しいゲーム体験


the Beastでは、
仕掛け人の一人であるマイクロソフト社のデザイナー、エラン・リー氏が語る様に、
「現実」と「虚構」の境目を、なるべく曖昧にする為に、
当時としては全く新しい手法、ギミックを駆使し、それまでには無い新しいゲーム体験を生み出しました。

ストーリーを1つのメディアで完結させずに、
ありとあらゆる生活メディアに分散的に情報をばらまく新手のクロスメディア手法や、
実際に登場人物になりきった生身の人間と電話での会話、
電子メールでのやりとり、
難解なパズルへのチャレンジ、
そして、
ネット上での何千、何万という数の人とのコラボレーション。


具体的な例として、
例えばこんなパズルが用意されていました。




















元素記号の数式を解く事で、
プレイヤーはストーリーのヒントとなる新たなホームページのアドレスを入手する事ができます。
このパズルはまだ想像可能な範囲の様な気もしますが、
中には制作者側が、解答に9ヶ月はかかるだろうと想定していたものもあったそうです。
(しかしながら、それも20分で解かれてしまったらしく、
制作者側は1日18時間労働でパズルを考えてたそうですが…)





リアルイベントも行なわれました。

『マサチューセッツ工科大学でのビデオ上映イベント』
→スティーブン・スピルバーグ監督のインタビューが上映され、
その中で、ジャニン・サラの名刺を出す等の演出がありました。

『反ロボット市民軍決起集会』
→ストーリーの中でA.Iロボットの軍事利用が1つのキーワードになっており、
その決起集会が、ニューヨーク・ロサンゼルス・シカゴにあるレストラン(クラブ)の計3か所で同時開催されました。
そこで配られたリーフレットには、
折り重ねると秘密のメッセージが現れる仕掛けが施されており、それと開催された場所の通りの数字を組み合わせることでURLがわかる仕組みとなっていたそうです。
こってますね。


このように、リアルイベントがストーリー進行においても大変重要な意味を持っているのが、the Beastの特徴とも言えます。
(もはや一人では絶対に完結出来ないゲームだという事も、
お分かり頂けると思います。)

参加者が協力しあい、作り上げて行く双方向型エンターテイメント


これら様々なイベント、パズル、ストーリー情報は、
基本的には様々なメディアやシーンを通じて分散的にプレイヤーに届けられていました。
当然、途中参加者はキャッチアップが必要となりますが、
情報がまとまっていない事にはどうにもなりません。
通常の漫画や映画等のコンテンツとは違い、the Beastではリアルな時間が流れているからです。

しかし、
ゲーム最中に、
実際にプレイヤー達の手によって議論や情報交換としての場である「フォーラム」や、
日本でいうところのまとめサイト的なものが作成されました。

それがこのcloudmakersというサイトです。
(cloudmakersとは、the Beastのコアプレイヤー達のグループでした)

Cloudmakersオフィシャルサイト
http://www.cloudmakers.org/


このサイトには、
the Beastの概要、プレイの仕方、ストーリーがまとめられおり、
このARG内で使用された他のウェブページへはここから飛べる様になっています。

The BeastはARG進行中も制作途中だったこともあり、
常にARGの進行の最先端にいたCloudmakersの存在は、
The Beastのストーリーやゲームの進行に大きな影響を及ぼしました。


少し余談ですが、その後行なわれるARGには、
この「フォーラム」と「まとめサイト」がセットで設置されているケースが大半を占めています。


又、ワイアードニュースに届いたメールに、
この様なものがあったそうです。

「実際、昨日はこれまでで一番見事な『ゲームデー』だった。ライア(ゲームの登場人物の1人)から緊急の電子メールで、『赤の王』(Red King)という人物が誘拐され、事件の解決に手を貸すことができるのはわれわれだけだ、と知らせてきた。電子メールには、電話番号がはっきりとわかる食堂の『伝票』をスキャンしたものが添付されていた」

 「そこに電話をかけてみて、みんな本当にびっくりした。完全にゲームの登場人物になりきった生身の人間が電話に出たのだ。電話の主は、表向きは自由の女神像の警備員をしているというマイク・ロイヤルだ。その日はずっと、気が進まない様子のマイクをその気にさせ、何とか彼を引き込んで、赤の王を助けてもらおうとみんなが試みる。マイクが大学でフットボールをしていたことがわかると、ゲームプレイヤーたちはそれを糸口に、マイクの機嫌をとろうとした」


当時のワイアードの記事にもありましたが、
まさに今まで見た事も聞いた事もない社会工学です。
ユーザー参加型の最たる例ではないでしょうか。



the BeastからARGが始まった


Alternate Reality Gaming という言葉は、
the Beastが誕生した後に後付けした形で世に出ました。

史上初の大型ARG、The Beastは、スピルバーグ映画A.I.のプロモーションと、映画の世界観の拡張を目的として作られ、
後に制作されるARGの基本となりました。
WEB上に架空サイトを多数作ることで未来の世界を構築し、
多数のパズル・ミッションを配置した今でいうところの古典的なARGです。
ラビットホール、クロスメディア型分散配信、プレイヤーの行動喚起、プレイヤー間の協力、パペットマスターの存在など、今では当然とされているARGの特徴の多くはこのARGから始まりました。


しかし、
ARGの本質的特徴=the Beastの特徴
という風に簡単に結論付け出来ないのが昨今の状況です。

前述した通り、
これまでに200個弱のARGが実施されており、
ARGも既に多様化の時代を迎えています。
(こちらに関してはまた今度エントリーしたいと思います。)

しかしいずれにしても、the Beast という1つ作品が、
ARGという大きなジャンルを生み出した事には変わりありません。
その意味で、この作品を理解する事はARG 理解の第一歩と言えます。

最後に


the Beastの紹介、
いかがでしたでしょうか?

様々かいつまんでしまったので、
理解し難い部分等あるかと思いますが、
ご遠慮なくコメント、メール等で質問して抱ければと思います。



以下、当時のワイアードニュースの記事です。
是非こちらも参考になさって下さい。

映画『A.I.』の裏に潜むもう1つのストーリー(上)
2001年6月29日
http://wiredvision.jp/archives/200106/2001062907.html

スピルバーグ監督映画『A.I.』をめぐる謎のウェブサイト群
2001年5月 7日
http://wiredvision.jp/archives/200105/2001050706.html

各種参考データ


•The Beast (game)- Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Beast_ (game)
•The Beast ARG Presentation 10.2.08
http://www.scribd.com/doc/6470266/The-Beast-ARG-Presentation-10208
•Cloudmakersオフィシャルサイト
http://www.cloudmakers.org/


受賞歴


•Best Idea, New York Times Magazine
•Best Website, Entertainment Weekly
•Best Advertising Campaign, Time Magazine

数値データ(一部)


•全世界で300万人以上の参加者(42 Entertainment)
•最初の3時間で10万人の参加者(Lee in Meadows, 2003)
•Cloudmakersができてから48時間以内に150人が登録(Gosney, 2005,)
•ゲーム終了時には Cloudmakersに7400人のメンバー(Gosney, 2005)
•Cloudmakers内のメッセージ数は43000(Stewart, 2001)
•Time Magazine, CNN, USA Todayなど主要メディア上で3億回を超える広告表示回数を誇る。これはSlashdot, Wired, Ain’t it Cool Newsなどの比較的小規模なメディアでも同等(42 Entertainment)
•開発コスト一億円以上(DreamWorks)
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【事例紹介】ARGのはじまり "the Beast" (1)

ARG2009チームリーダーのularatterです。
今回は、自分のブログで昔まとめた記事をこちらへ転載させて頂きます。

最初のARG、The beastについて、です。
ARGは具体例から見るのが最も分かりやすいと思うので、
是非何かの参考にして頂ければと思います!


ーーーー


元祖ARG、"the Beast"


ARG(Alternate Reality Gaming 「代替現実ゲーム」)
のはじまりはいつかと言いますと、
実はこれは2001年にまで遡ります。

日本では本当にここ2年間くらいでやっと知名度が上がってきた(かな?)
くらいなのですが、
実は欧米ではすでに、
私が知っているだけで200弱のタイトルが行なわれてきました。


最初に行なわれたのはこちら、
"the Beast"
というタイトルのARGで、
2001年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画、
「A.I」のプロモーションとして行なわれました。














※本当は映画のプロモーションではなく、
Xbox用のゲームが発売予定だったので、
そちらの広告プロモーションとして企画されたのですが、
結局はA.Iの不振からゲーム発売が企画倒れしたという経緯があります。


では、A.IのARG, the Beastは、
どのようなものだったのでしょうか?
以下から少しご紹介したいと思います。


the Beastの世界への入り口


映画のポスターのクレジット(公開前から)
映画の中のエンドロール(映画公開後)
等に、
「ジャニン・サラ(jeaninne salla)」という名前が記載されていました。
(以下画像参照。こちらはポスターの画像)

ただの名前なら誰も気にも止めないのでしょうが、
肩書きが「心を持つロボットのセラピスト」と、何やら怪しい。




実はこれが、
ARG、the Beastへの入り口、
※「ラビットホール」でした。









プレイヤーがその名前を、おそるおそるgoogle(まぁエンジンはなんでも良いんですが)
で検索すると……


※ARG用語に「ラビットホール」というものがあります。
アリスがウサギを追いかけて不思議の世界へ入り込んでしまう穴を、
ARGストーリーへ入り込む入り口と見立てて
「ラビットホール」(ウサギの穴)と呼んでいるんですね。
広告業界でいうところの、
タッチポイント、コンタクトポイント、
と似た様なものだと思って下さい。


the Beastの世界


検索するとどうなるかというと、サラが働いている大学のホームページに飛びます。
名前はバンガロア大学。
彼女が大学教授である事が分かり、
さらに彼女のページを見て行くと、
彼女の書いた論文の一覧ページがあります。






























画像が少々粗くて申し訳ありませんが、
お気づき頂けましたでしょうか?

そう、年号がおかしいんです。
(画像上で、赤い丸でかこってあるところです)

今から100年以上も未来に書かれた論文がある。
大体、そもそもロボットセラピスト、なんていう肩書きが現実離れしています。
何かがおかしい。

そうして、ジャニン・サラという謎の女性のページから、
関係するいくつかのサイトに飛んで行くと、
エヴァン・チャン(Evan Chan)という人物の謎の殺人事件に行き着きます。

その流れをより詳しく説明すると、以下の様になります。

Sallaの個人ページを読むと、プレイヤーはSallaの孫のLaiaの個人ページへのリンクや、Jeanineの電話番号を発見できます。
こうした手がかりに誘導されて、
プレイヤーはEvanとNancyのホームページを見つけることになります。
彼らはSallaとは家族そろってのつきあいで、
Jeanineの留守電のメッセージから、
どうやら最近Evanが彼がA.I.を育てていた、
「Cloudmaker」と呼ばれるボートに乗っている際に、
不慮の事故で亡くなってしまったということが分かります。


この時点で、プレイヤーはEvanの死の調査に参加することになります。
プレイヤーは、だれがA.I.生育所を壊したのか、などのさらなるなぞに直面することになり、
この一連の殺人事件の謎がthe Beastの世界、ストーリーでした。



2001年、
まだこのゲームに、これまでのMMORPGやコンソールゲームには無い、
新しいゲーム体験が潜んでいる事など、まだ誰も知る由も無い時代の事です。




(2)へ続く
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【お知らせ】公式Twitterアカウント設置!

武山研究会ARGチームのtwitterアカウントです!
こちらからブログの更新情報などを配信します!

http://twitter.com/KegARG2009

ブログ右タブにある、
メンバーのtwitterによるつぶやきも
是非チェックしてみてください。

ARGだけでなく、
広く地域活性、観光、マーケティング、
ソーシャルウェブ、IT、広告
など、各々の興味分野に関するつぶやきや、
時に日々の生活が垣間見れます!
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【研究内容について】武山政直研究会

武山研究会ARGチームの過去の活動はこちらから!
他の研究テーマも知ることができます。

2008年度は主に基礎研究をしていました。
(※当時あんまり情報公開していなかったので、情報は少ないです;)

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【ARG説明】代替現実ゲームに見る情報送受信の変化

研究会教授武山政直先生へのインタビュー記事です。


テクノロジーではなく、ストーリーや演出に重きをおき、魅了することで、
プレイヤーのリアルとバーチャルを結び、行動喚起を起こさせるARG。

ひとつひとつのコンテンツやギミックだけでなく、
総合的な演出を手がける能力が大事であるとのこと。

推理小説を書ける人材が重要だというのは興味深いですね。
ARGがユーザー参加型のエンターテイメントであることから、
プレイヤーのモチベーションを活性化させたり、
プレイヤーの行動に対応した形で展開していくことが求められます。
だから推理小説が近いのかな。

また情報の送受信にも言及しています。
情報の一方通行の状況が変化し、「ウェザーニュース」などのサービスに見られるように、
これからは情報発信側と受信側が協力してひとつの価値を作り上げていくことが重要とのこと。
ARGもプレイヤーの行動が新たな行動喚起を生んだり、
コミュニティーを形成することがあります。

ARGは協同でひとつのエンターテイメントを作る、と考えることができるかもしれません。


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【ARG説明】ARGとは

慶応義塾大学経済学部 武山研究会2009年度 ARGグループです。
さて、いきなりARGと言われて、なんやねんそれ!と思っている方もたくさんいらっしゃられるかと思うので、
このブログで、何回かに渡って事例や参考URLを参照しつつ、
ご説明してさせて頂だきたいと思います。

質問等はコメント欄なので常時受け付けていますので、
ご遠慮なくしてください!

ではさっそく。
ARG(Alternated Reality Gaming、代替現実ゲーム)って何?
実はこれ、一言でいうのはとっても難しいです(笑
『ARGとは今広告業界初め各方面から注目されはじめている、新しい形のプレイヤー参加型のエンターテイメントです。』
とも言えますし、

『ARGとは現実の世界を舞台に仮想のフィクションストーリーに参加し体験する新しい形のストーリーテリング手法』
なんて形でも言えます。

私たちの研究の中でもどういう風に形容したらいいか議論していますが、
中々1つの定義にはおさまっていない、というのが現状です。
一方でそれは、ARGが様々な可能性とも言える側面、顔を持っているとも言えます。


ARGは今から約10年前、スティーブンスピルバーグ監督の映画、
A.Iのプロモーションに使われた事から一気に全米で注目されはじめたました。
この事例については、
チームリーダーの西谷麗(ularatter)が自身のブログでまとめていますので、
http://ularatter.blogspot.com/2009/07/arg-beast-1.html
(今後こちらのブログにも転用するかもしれません)
こちらを是非ご参照ください。

さて、ARGはどんなものなのか、
小難しいことはおいておいて、少しストーリー調に説明したいと思います。
今回は、いわゆる古典的なARGを題材に、
簡単にARG体験というものを作ってみました。


自分がARGを体験しているんだ!
と思って読んで頂けると幸いです。









ーーーーーーーーーーーー
あなたはPCでこの記事を見ているでしょうか。
あなたはこのブログが大学研究会の公式ブログであることを知っていますが、
やたら内容が学問的ではなく不思議に感じているはず。
しかし、絶対この研究会に入りたい。
嫌々活動内容読んでいたが、ふとブログを一番下までスクロールしてみると、
クリックできるおかしなリンクを見つける。

「なんだろう?」

と思い、
クリックしてみると奇妙なサイトに飛んだ。
インターフェースは真っ白でメニューらしきものはない。
仕方なくブラウザの「戻る」を押してみると、
さきほどブログの末尾に数字が記載されているのを発見する。

「さっきはなかったような。。。」

どうやら電話番号のようだ。
自宅の子機からその番号にダイヤルしてみると、つながらない。
切ろうと思ったそのとき、留守番電話用のメッセージが流れてきた。

「助けてほしい」というメッセージ。

よく聞き取れない。
もう一度電話を掛け、注意して聞いてみると、
このブログを開設している研究会は国から私立大学へ渡される助成金をある政党の運営資金として横領し、
その見返りに大学教授の天下り先を、
その政党に同じように寄付している企業から確保し、
斡旋を促していた。
おそらく捕まった学生らしき人は、
内部告発かなにかをしようとして拘束されたのである。

あなたはそれらしき新聞記事をweb上で探してみる。
あった。
ある研究会の学生が行方不明になった事件が何件かある。
研究会名はわからない。
あなたは研究会についても探してみる。
調べているうちにある学生が研究会に通常より長い期間所属していることに気づく、
この学生は自信のブログを持っており、そこでは留年を繰り返し、
丸6年も大学生をやっていることが記されていた。
この学生ならなにか知っているかも知れないと思い、家を出て大学の学事に向かった。
しかし、学事で聞いてみるとそんな生徒は存在しないというのである。

ますますわからなくなってしまった、
あなたは仕方なく携帯から本人のブログに投稿してみる。

なにげない投稿で返事が来た。
なんどかメッセージを交わしたあと、
研究会について聞きたいというと返事がやけにおそい。
数時間後さきほど投稿に返事が来た。
そこには月曜日の○○時に大学院図書館の受付に行けと書かれてある。
月曜日は今日、今から行けば間に合う。
受付に言ってスタッフに話しかけてみると聞き覚えのある声が返ってきた「君は合格」。
留守電の声である。

「君の研究会入会を認めよう」

「!?」



・・・・・・・・



どこでまでがフィクション?どこまで現実?
フィクションストーリーと現実世界の境目が非常に曖昧になる、
これまでの映画や小説、ゲームとは違う一つの表現手法。
それがARGのとても重要で大きな要素です。

あなたが、あなたという存在としてストーリーに参加が出来る、
あなた自身がそのストーリーの登場人物、
場合によっては主人公にもなりうる物語の形。

生活が少しスリリングで、
わくわくするものになる(かもしれない)

そんな表現手法、
ストーリーテリング手法と呼ばれるのが、
ARG、代替現実ゲーム
という新しいムーブメントなんです。



少しは、イメージを湧かせて頂けたでしょうか?
今後、ARGに関してはたくさん参考になる記事をあげていくので、
是非楽しみにしていて下さい!
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