「コロ旅」から考える、観光ARGの優位性
効果測定
【トライアル終了お礼】シモキタARG閉幕
【応募締切】下北沢リアルRPG(1月9日・10日)
2010年1月9日(土)10日(日)に行われる下北沢ARG参加者の応募を締め切らせていただきました。
たくさんのご応募ありがとうございました!
抽選結果は1月4日(月)に発表させていただきます。さてさて。
プレトライアル詳細
えっ?今日は木曜日だから長谷川が担当じゃないのかって?
まぁ、大晦日なんですから、固いことは言わないでください。
今日は今年2009年の総決算として、
何と12月20日(日)に実施したプレトライアルの内容を大公開しちゃいたいと思います。
是非ご覧ください。
このプレトライアルでは、我が武山ゼミのARG班以外のメンバーやその知り合い、
そして来年武山ゼミに入りたいと思っている2年生を含めた
計15人に参加してもらいました。
このプレトライアルでは、携帯電話のメールを主なデバイスとして使いました。
全体の流れとして、参加者は物語の主人公である佐竹祐介とメールをやり取りする事で、
下北沢の街を回遊し、真相が明らかになるゴールを目指します。
プレトライアル中、ARG班のメンバーは受付担当、メール配信担当、役者担当、
参加者観察担当に分かれて、運営をしていました。
受付担当:西村、三輪(受付終了後、参加者観察担当)
メール配信担当:勝田、鈴木、長谷川
役者担当:西谷
では、細かい流れを説明していきます。
最初、参加者は下北沢駅の北口に集合してもらい、運営側から全体の流れを説明した後、
回遊用の地図と登場人物の説明が書かれたフライヤーが手渡されます。
登場人物の説明を読んでいると、主人公の祐介から、彼の所属バンドのライブに
やってきた体で参加者にメールが届きます。
内容は、バンドのメンバーで、彼の幼馴染みである哲郎と沙織が
まだ到着していないのだが、祐介は会場設営に忙しい状態なので、
時間を潰せる下北沢のスポットを紹介するので、回ってきてほしいというもの。
参加者はその場所へ行って時間を潰します。
しかし、なかなか哲郎と沙織の2人は姿を表さないので、
祐介は参加者に哲郎の姉が働いているアクセサリーショップに行って、
彼女から2人の居場所を聞いてきてほしいと頼まれます。
ところが、哲郎の姉に哲郎の事を聞いても、
「自分は一人っ子で、そんな人は知らない。祐介さんとか言う人に確認を取ってくれ。」
と言われてしまいます。
それを祐介に伝えると、彼は物理学者である彼の父が昔調べていた
「平行世界」に関する記述が残されているブログの存在を思い出します。
そのブログを読むと、平行世界の存在が
下北沢の地で発生していた「神隠し」の原因であり、
祐介の父は自分の平行世界を行き来した経験を
パスワードが付いた別のブログに隠した事がわかります。
そして、そのブログに載っている地図を頼りに街中に散りばめられたヒントを集めると、
そのブログのパスワードとなり、とうとう神隠しの原因が明らかになります。
そのブログによると、祐介の父は参加者達がいる世界とは別の世界の住民で、
下北沢のカフェにある絵本を介して、平行世界を行き来できる事がわかります。
しかし、そのためには、絵本を探し出すだけでなく、
行き来する人が、何かしら強い想いを持っていなければならない事を知ります。
この内容を祐介に伝えると、彼は参加者がいる世界にやってくる前に、
好意を抱いている沙織が幼馴染みの哲郎が男女の仲になっていた現場を目撃した事を
教えてくれ、これが祐介が参加者がいる世界にやってきた理由だと言われます。
核心にせまってきたワクワク感を楽しみつつ、
最後に載っている下記のビルディングパズルを解き、
参加者はとあるカフェにたどり着きます。
そこには、祐介と哲郎、そして沙織の3人の幼少から現在までが描かれいる
絵本が置いてありました。
なんと、もう1つの世界とは「この絵本の世界」のことだったのです。
更に、中を詳しく読んでみると、祐介が目撃した現場は、
実は沙織が哲郎に祐介に告白すべきか否かを相談をしていただけだったのです。
つまり、祐介と沙織は両思いだったのです。
絵本の写メールと共に、この事実を祐介に伝えると、
彼は沙織への強い思いを手に入れ、無事写メールを介して、
絵本の世界に戻っていきました。
長くなりましたが、以上がプレトライアルの細かい内容です。
こう書くと、代替現実感が味わえそうな感覚を抱かれる人がいると思いますが、
以前に書かれた反省にもあったように、
参加者がパズルを解くのに集中するあまり、
祐介への返信を忘れるパターンが続出した結果、
物語への理解が薄いままゴールにたどり着く参加者が後を絶ちませんでした。
また、物語を進める間に、街に点在している宝箱を見つけ出す要素も
組み込みましたが、参加者のほとんどが半分も見つけてくれなかったり、
物語との関連性が薄いなどの反省点が出ました。
まだ、数えきれないくらいの気づきがありましたが、
詳細は以前書かれたプレの反省を参照してください。
長々と書いてきましたが、僕たちARG班はこの反省点を活かし、
年末年始を返上して、1月9日、10日の本トライアルに向けて頑張っておりますので、
どうぞよろしくお願いします。
それでは、よいお年をお過ごし下さい。
【反省】プレトライアル反省一覧
【準備面】
1.企画の完成品を自分たちで試したのが遅すぎた。つたなくていいから、疑似体験は本番より2週間前にしたいところ。最低でも1週間前。
出来れば、疑似体験は制作側の人間ではなく、全く内容を知らない第3者が理想。
2.おそらく全体シナリオを作ることを優先するのではなく、大枠を考えた後は、分散的に配信する内容から優先的に考えて、設定もその都度自由に行った方が 良いと思う。そして、その分散して作ったものを統合したときに出てくる矛盾点などをつぶし、全体のシナリオをまとめ上げていく方が良いと思った。
3. 集合場所のメール送信が急すぎました。また2時間コースように「背景説明ポストイット」の製作も急すぎました。本トライアルでは事前に可能なかぎり情報を 与えた方が良いと思います。(ネタばれは厳禁)事前に情報を与えることで想像を膨らませることができてよいと思います
【運営面】
★オープニングについて
物語に関係のないKEG生が資料を手渡し、説明する方式は物語の世界観を壊していた。
→ARG当日以前に、物語を紹介するページなどを作る必要性がある
受付を設けることは失敗だったなと思います。自然に、日常からストーリーに
入っている状態が理想ですよね。ムズイですが
★配布資料について
多すぎて、持ち運びが不便なので、ファイルか何かにまとめる必要があった。
持ち運びする資料はないほうがいいと思います。ゼロですね
地図が問題になりますが、自分は地図はなくても参加者は能動的に情報を集めると考えます
★メール配信について
1.メール配信をベースにし、さらにそれを複数人で分担する場合でも、配信元のアカウントは統一すべき。
当日メンバーが突然チームを変わったりすると大変。
2. プレイヤーの動きを把握・管理することはとても難しかった。勝手に変な方向にいかれないためにも、プレイヤー管理はとても大事。
対策としては、原始的にプレ イヤーに貼りつくことくらいか…。
3.練習はしていたが、いざ本番になってみると、かなり手間取った。
更に、送信先を間違えたり、ちゃんと全員に返信されなかったというミスがあった。
4.返信が遅く、参加者は返信が来る間に何をしたらよいかがわからない状況があった。
【ARG設計面】
★回遊について
時間的余裕がなく、街をじっくり見る暇がなかった結果、能動的な散策ではなく、
受動的なそれになってしまっていた。
→自由度の高い「街歩き」と行動を規定される事で自由度の低いARGとのバランスが
回遊型ARGの設計で今後重要になってくる。
回遊は自由度がないほうが良いと終わってから思いました。どんどん休む間もなく
ギミックがあって、クリアしていくほうが没入感もそうですが、プレイヤーが
楽しめると思います。観光の面では、自由度を上げるのではなく、ギミックに
地元民との交流などを入れていくことが望ましい。
★メールについて
1.物語をメールで配信する方法では、主人公が実在する感覚を伝えられなかった。
その結果、参加者は祐介との会話を楽しめずにいたのではないかと考えられる。
→メールの形式を継続するなら、主人公も人間らしい返信をするべき(=説明口調はNG)
→登場人物が架空であると思わせると、リアリティではなく違和感を感じるため
2.「メールストーリーテリング」と「メールコミュニケーション」を
明確に分けていなかったため、参加者が配信メールを
単なる情報提供ツール(=「メールストーリーテリング」)として認識し、
主人公である哲郎とのコミュニケーション(=「メールコミュニケーション」)としては
認識してくれなかった。
3.それ以前に、携帯電話×文章での情報伝達(メール・ブログ)に限界があった。
小さな画面+屋外+徒歩という環境では、情報は最小限しか伝えられず、
その結果、参加者からの返信のほとんどの文面が短く、意図を正確に伝えれなかった。
だが、祐介に彼が絵本の住人である事を伝え、沙織への告白を促させるcomp.での返信は
例外的に長かった。
→ゆったり座れる場所だったから?(8期生チームはこっち)
物語に没入して、祐介と沙織が結ばれてほしいと思ったから?
4.返信のないチームに対しては、時間を置いて再度メールしたが、反応がなかった。
→メールに全ての物語の伝達を任せるのには限界がある。
★ブログについて
1.携帯電話×文章での情報伝達(メール・ブログ)に限界があった。
小さな画面+屋外+徒歩という環境から、ブログを流し読みする人が多く、
仮説ブログでは、神隠しの部分と地図しか見ていない。
また、仮説ブログの地図をもとに、監視カメラギミックを解き終わった後、
結論ブログに載っているビルディングパズルを発見してからは、
パズルを解くのに目が行ってしまい、祐介への返信タスクが、
参加者の頭から完全に忘れ去られ、物語理解は皆無に等しかった。
(=物語が一人歩きしている状態になってしまっていた。)→参加者の参加への意味付け
2.文章に問題があったため、comp.突入前に参加者が哲郎が現実世界に迷い込んだ事を
参加者が絵本の世界に迷い込んだと誤って認識してしまった。
→物語自体が複雑だったのか?
→伝え方(メール、ブログなどの携帯電話を介した文章での情報提供)が問題だったのか?
3.アクセス制限でブログが読めなかった。
→小学生~高校生を対象とする時は、ブログを使わないか、
アクセス制限を解消する方法を考える必要がある。
★宝箱について
1.宝箱は10個仕掛けたが、時間的余裕がなく、目的地等を探すのに必死だったため、
平均2〜3個しか発見されなかった。
2.物語との関連性が希薄だった事から、物語の世界観を逆に損なっていたとの指摘もあった。
宝箱は単純に難しかったのかと思いました。エリアが限定されていたとしても、
隠せる場所は無限に存在していたので、宝箱を置くなら、店舗の中とかが
良いのかな
★絵本について
絵本の世界とこちらの世界が繋がっている時間に制限がある件を、
参加者は絵本を読んで初めて知っていた。
→この件を削除するべきだったのか?ブログにこの内容を転載すべきだったのか?
★ゴールについて
祐介を絵本の世界に返す事をゴールと認識していたが、
参加者にとって、comp.到着後のゴールまでのメールコミュニケーションは、
いつがゴールなのかがわかりにくく、参加者を困惑させてしまった。
→明確なゴールを設定する必要性(到着(+1イベント)=ゴールが理想)
★シナリオについて
1.違和感を減らすことに集中するあまり、物語の先を知りたくなるなど
楽しさの要素を考慮できていなかった 。
2.防犯カメラ以降は祐介と連絡を取らなくても進められたため、
祐介が無視されることもしばしば。
★エビデンスについて
1.全体的にエビデンスが少なく、街全体がARGの舞台という実感が湧かないため、
リアリティが薄いものになってしまった。
⇒日常の街中にたくさんの仕掛けをし、演出に力を入れるべき
2.哲郎の電話番号にかけても、留守電になるだけだと面白くない。
→情報を与える際は、それが何らかのヒントor物語に関係するものである必要がある?
★参加者の行動について
1.友人の友人レベルという希薄な参加者間の関係により、
開始当初~防犯カメラギミックでは、チーム内での会話がほとんど無かったが、
ビルディングパズルを解くという共同作業を通じて、チーム内で会話が生まれ、
チームが一丸となっているように感じた。
→共同作業には、他者との親密度を上げる効果があるのでは?
これをチーム内だけに止めず、チーム間でも行う事で、
ARG参加者全員が一丸となり、非日常的な体験ができるのではないか?
共同作業はチーム内でコミュニケーションを生むと思います。そこが楽しいですね。
共同作業じゃなくても(パズルでなくても)ARGを進めていく中で
会話が生まれてくるのかと思います。逆に最初から自由な時間がたくさんあると
「気まずい」みたいな状況がうまれてしまうのかも
2.ARGに貢献したいという意欲があっても、それが叶わないと寂しい
→参加者全員が物語の進展に影響を与えられる設定が必要では?
3.地域とのつながりがある物語の方が、参加者の気付きとして嬉しさがあるのでは?
4.ビルディングパズルを解くために、カフェに入りたいと参加者が言ったら、
僕が何も言わなくとも、自主的に街を歩き回り、ちゃんとお店に入った。
→プレイヤー(参加者)の自由度を高めた方が面白いものができるのではないか?
5.時間が無かった事もあり、街を探索する余裕は無かった。
★トライアルの目的について
研究の中での位置づけを意識した上で考えて行く必要がある。
良い企画を作って、参加者を楽しませる事は、ARGの効果として間違いなく必要で、
参加者の満足度を考慮しないと、研究意義もブレてしまうが、
あくまで「観光×ARGの有効性の検証」を目的として、トライアルは位置づけるべき。
→常に研究視点をわすれずに、って事ですね。
本トライアルは、
参加者全員の大コラボレーション、
ミスの許されない一発劇になる予定なので、
正直ハラハラドキドキですが、
参加される皆様に最高の体験を提供できるよう、
明日は朝七時から、
リーダー宅で早朝合宿です!!!!!
いよいよ追い込み。